第40回漢字小委員会で、情報機器に配慮した修正案を提示(追記あり)
本日午前10時から漢字小委員会が文部科学庁舎にて開催されました。主な論点は以下のとおり。
- 4月13日、同23日に開催、同26日を予備日とする開催スケジュールの提示。なお、国語分科会は5月中旬開催の予定。
- この日は答申案のうち、「基本的な考え方」「表の見方」の修正案について審議。
- 情報機器との関連で注目されるのは「字体についての解説」が変更されたこと。
- 「第1 明朝体のデザインについて」に関して
- 「3 点画の性質について」の「(1) 点か、棒(画)かに関する例」に「蔑」を追加。
- 同「3」に(8)として「その他」新設。ここに「次、姿」のデザイン差を掲載
- 「4」として「特定の字に適用されるデザイン差」を新設。ここに「叱、茨、牙、韓」の例を掲載
- なお、「叱」に関しては注釈として「(1)「叱」と「𠮟」は本来別字とされるが、この2字の使用実態から見て、異体の関係にある同字と認められる」の一文を追加。
- この「叱、𠮟」が個別デザイン差にされたことは、後述の「付」改定と並ぶ今回の大きな変更点と思える。
- 「第2 明朝体と筆写の楷書との関係について」に関して
- 「3」を「筆写の楷書と印刷文字字形の違いが、字体の違いに及ぶもの」と改称
- これは、1、2が字形差にとどまるのに対して3が字体を越える違いであることを明示する意図
- 同「3」の「(1) 方向に関する例」に「蔽」の例を追加
- 同「3」の「(3)その他」から、「牙、韓、蔑」の例を削除
- 「第1 明朝体のデザインについて」に関して
- 以上の記述ではフォントの字形差が表現できない。そのあたりは後ほど公開の配布資料を参照。
- 「表の見方」についてもっとも大きな変更は「付」の一文を大幅に改定したこと。これは大事なことなので、以下に新旧の前文を掲げる。
- これは従来まで「当該の字体の使用を妨げるものではない」と消極的に(ある意味中途半端に)認めていたのを、「差し支えない」と無前提に許容する表現に変更したもの。
- もともと以前から例に挙げられている文字には「など」がついており、該当範囲が明示されているわけではなかった。
- このことを考え合わせれば、今回の変更によって改定常用漢字表の趣旨に基づく限りは、字体に関して情報機器では制限しないと受け取れるものになった。
- これは情報処理学会 規格調査会(通称JSC2)からのコメントに基づいた変更。もちろん他にも多数意見をもらっているとのこと。
以上。なお、本日は一日外回りにつき配布資料のアップロードは夜遅くになる予定。