改定常用漢字表の制定は年内ぎりぎり?

本日、文科省にて開催された第43回国語分科会の傍聴に行ってまいりました。


審議はいつも午前10時から12時までみっちり2時間かかるのですが、今日は午前11時30分から始まって12時20分には終了。1時間足らずという短いものでした。

このことからも分かるとおり、この日は2月に委員の任期が切れたのを受け*1、新たな期の開始とともに分科会長を選任*2、下部組織である日本語教育小委員会と漢字小委員会を発足させることのみが目的でした*3。なお、委員は前期から変更ありません。

さて、審議後に氏原主任国語調査官はこれまで改定常用漢字表の制定を秋頃としていたところを、年末までずれこむ見通しであることを明らかにしました。

もともと前回の漢字小委員会の時点では、2月終わりには改定常用漢字表の審議を再開し、最終答申を4〜5月に想定していました。ところが国語分科会の開催にあたって委員の日程が合わず、今日までずれこんでしまいました。漢字小委員会は国語分科会の下部機関ですから、これが発足しなければ新しい期の漢字小委員会は発足できない、つまり審議の再開もそれだけ遅れてしまうわけです。

これから漢字小委員会は3回程度の審議を見込んでおり、その後国語分科会の承認をへて、文化審議会の最終答申は5月末から6月初旬の予定。そこから内閣告示訓令となるまで6ヵ月程度の時間が必要となる見通しです*4。つまり制定は12月、あるいは漢字小委員会での審議が紛糾すれば、もっとずれ込むこともありえます。

もう一つ、後先が逆になりましたが、この日の審議で氏原主任国語調査官は読みに関する意識調査について、今月中にも速報値を提供できることを明らかにしました。この調査については第38回漢字小委員会の報告でも少しふれました。毎年秋に発表される「国語に関する世論調査」を利用し、例年3.0000人規模でおこなうところを、今回は6,000人規模で実施。調査はすでに始まっており、今月中に速報値を明らかにできるとのこと。これを漢字小委員会の審議に提供する予定です。

従来の見通しでは、調査結果は漢字小委員会の最後の審議に間に合うかどうかというものでしたが、国語分科会の開催がずれこんだことで、皮肉なことにじっくりと調査結果を検討できる時間ができました。ただし、かえって調査結果が火種となって議論が紛糾する可能性もなくはありません。これからの審議を見守りたいと思います。

*1:委員の任期は1年。

*2:林史典氏(聖徳大学教授)の留任。

*3:なお、国語分科会の委員は一応2つの小委員会に振り分けられますが、どちらの小委員会にも出席可能です。

*4:審議会までは文化庁の仕事で、そこから後は内閣法制局、そして最終的には内閣総理大臣の仕事になります。したがって今の段階から最終答申が必ず告示や訓令になると断言できません。また、当然そこまでの期間も6ヵ月ですむとは限りません。これはあくまで目安です。