ご来場御礼

「第2回ワークショップ: 文字 ―文字の規範―」では、思った以上に多くの方々にご来場いただき、熱気のこもった素晴らしい雰囲気の中で発表を終えることができました。参加者の皆さま、それに声をかけてくださった主催者の方々、また発表に当たって貴重な資料をご提供くださった大日本印刷の皆さま、どうもありがとうございました。厚くお礼申しあげます。


当日配布した資料ですが、じつは1971年『和文活字』の「当用漢字一覧」のページを入れ忘れていました。これを改めて入れ直したPDFファイルを下記に置いておきます。よろしかったらご覧ください。

090208_ogata.pdf(8MB)

発表の内容としては、大日本印刷における表外字の略字体使用は、1950〜60年代に表外字について指針が非常に少ないなかで「解釈による国語施策の運用」が行われる中で発生したこと。これが転換したのは1970年前後で、そこでは当用漢字表補正資料や人名用漢字別表に基づく「漢字表による国語施策の運用」がおこなわれたこと、そしてこれは現在もつづく運用方法であることなどを話しました。

1950〜60年代に大日本印刷朝日新聞社で開始された略字体の使用は、略字体そのものの支持・執着という側面より、当時の国語施策が示していた理念を、解釈・運用する中で開始されていった側面の方が大きいと考えた方が自然です。つまり「国語施策の運用」という意味からは、略字体を使用することも、いわゆる康煕字典体を使用することも同じという訳です。

この日の発表は、論文にまとめ直して単行本として出版されることになるようです。今から執筆するのが楽しみ。とはいえ、まず『国語辞書 誰も知らない出生の秘密』に掲載されている19冊の国語辞書調査の追試をしなくてはなりません。まあ大変だけど、ぼちぼちやります。