マイクロソフト担当者が語る、JIS2004の混乱は「まだこれから」
昨日から横浜で開催されているTech Ed 2007 Yokohamaでのセッション、「Windows Vista: JIS2004とUnicode」に参加してきました。スピーカーはここ数年、同社で文字コードの標準化活動を担当している阿南康宏氏。
セッションの内容そのものは、これまで同社が発表してきたものを開発者向けに、Unicodeと文字処理の問題をからめつつ説明したもので、とりたてて目新しいトピックはありません。マイクロソフトは国語施策と公的標準にもとづき実装をすすめていくこと。Unicodeがなければ全ての人名用漢字が表現できないこと。とはいえ従来の環境との互換性に留意し、ユーザーの選択肢は用意していること……。
ここではセッション後に直接話をうかがった際、とくに興味を惹かれた部分を取り出して報告しておきましょう。もちろん記憶にもとづく再現ですから、もしも間違いがあればご容赦下さい。
- ――今日の話の中で、Winddows XPユーザー用にJIS2004フォントを、Windows Vistaユーザー用にJIS90互換フォントを無償配布している件が触れられていましたが、現在までのダウンロード数はどうなのでしょう? これはJIS2004移行の重要なバロメーターと思えるのですが。
- ええ、我々もそう思って数字を見ていますが、現在はWindows XP用のJIS2004フォントの方が圧倒的です。おそらくWindows Vistaを導入しないまでも、その下準備をしているのかもしれませんし、あるいはWindows VistaそのものがまだWindows XPに対抗できるだけのシェアになっていないことが原因なだけで、これから伸びていくにしたがい逆にJIS90互換フォントが増えるのかもしれません。
- ――現在の数字を発表する予定はあるんですか?
- 今のところはありません。それよりもむしろ、導入事例、それも成功事例を早く発表したいと思っています。パートナーさんがどういう管理をされているのか、それを知らせることで、お客さまが自信をもって取り組んでいただけると思うのですが、今はまだそういう状況は整っていないというところです。
- ――まだ事例は集まっていないと。
- ええ、今はまだ様子見だと思うんです。
- ――ということは、本番はまだこれからと?
- そうですね、そういうことだと思います。
この日のセッション冒頭で、Windows Vista発売からこれまでを振り返って「とくに大きな混乱がなくこれた」とする発言がありました。しかし、上記のやり取りからも分かるように、マイクロソフトが将来も大きな混乱はないと楽観している訳では決してない、むしろ「本番はこれから」、そのように考えているとぼくは理解しました。実際のところ、Windows Vistaにとって真の意味での「本番」は今年の年末商戦なのではないでしょうか。個人的には年末のボーナスで買ったWindows Vistaマシンで作る年賀状に注目しています。
折しも10月には印刷分野で大きなシェアをもつMac OS Xの新しいバージョン『Leopard』の発売が予定されており、ここでJIS2004の対応が発表されるのではないかと言われています。この噂が正しいとすれば、JIS2004のインストールベースの増加は、これから年末にかけて拍車がかかることが予想されます。