アップル、10月26日出荷の LeopardでJIS X 0213:2004対応を発表

10月26日夜、アップルはMac OS Xの新バージョン「Leopard」を10月26日に出荷することを発表しました。中でも注目されるのが、本ブログでも再三言及してきたJIS X 0213:2004への対応。やはり噂どおりだったというわけです。

すでに製品ページがアップデートされており、この中の「日本語環境」のセクションでは、以下のような文言が見られます。

また、Mac OS Xは最新のJIS規格「JIS X 0213:2004」をサポートしています。様々な人名や地名を正しい漢字で表現できるだけでなく、自分の使いたい字形にダイナミックに切り替えることもできます。


〈正しい漢字〉というと、前バージョンまでは「正しくない漢字」だったのでしょうか? たしかかつて現在のヒラギノは「2004JISに適合する」とコメントしていたように記憶します。もちろんそれはJISと整合した正しい答です。とすればこの〈正しい漢字〉はどういう意味なのでしょう? それに、グリフとしてなら現バージョンでも印刷標準字体は表現できます。つまらぬツッコミをされる前に、舌足らずな書き方は訂正されることをおすすめします。

それはともかく、〈ダイナミックに切り替えることもできます〉というあたり、なにか従来のインターフェイスとは違う新しい仕掛けが期待できるのでしょうか。早く製品版をみたいものです。


ともあれ、いまだ詳細は不明ですが、ひとまず以下の点に注目したいと思います。

  • 2004JISフォント(以下新フォント)のフォント名は、前バージョンから変更するのか?
  • 従来の2000JISフォント(以下、旧フォント)も製品には添付されるのか?
  • 添付されない場合、マイクロソフトのようにサーバー経由で配布するようなことをするのか?
  • 旧フォントを添付する場合、アップル純正アプリのデフォルトは新フォントなのか?
  • 新フォントのレパートリは従来どおりAdobe-Japan1-5(つまりcmapの変更のみ)か、それともより拡張した1-6か?
  • 変更されたcmapはアドビシステムズ等の他ベンダと協調したものなのか?
  • 今後、字体が変わったことをユーザーにどのように告知していくのか?

いずれも、アップルの対応策がソフトランディングできるか否か、重要な意味を持つように思います。
識者の皆さん、他になにか注目点はあるでしょうか?


さて、アップルの2004JIS対応への評価ですが、これで大きな流れとして表外字は印刷標準字体を使うことが社会的な主流になる可能性が高くなったと言えるのではないでしょうか。1983年のJIS X 0208改正に端を発した混乱を収束しようとしたものが2000年の国語審議会答申「表外漢字字体表」→2004年の主として例示字体を変更したJIS X 0213改正でした。こうした標準側の動きを実装者として受け入れたのがマイクロソフトによる去年末発売のWindows Vistaでした。今回のアップルの対応表明はこれにつづくものですし、ジャンルは違いますが今年1月の朝日新聞の字体変更もこれと軌を一にするものと考えます。

ただし、これらはあくまでベンダーサイドの動きとして捉えるべきであり、ユーザーがそれをどのように受け止めるのか、素直に受容するか否かはまだ不透明とすべきでしょう。慎重に見守っていきたいと思います。


※追記(10.18)
コメントにてご指摘いただいたように、このエントリには読者のミスリードを誘う内容が含まれていました。くわしくは別エントリにて書こうと思いますので、そちらをご参照ください。


※追記2(10.18)
と反省していたら、ここで直井さんのコメントを発見。なーんだ。やっぱり正しかったわけですね。このページでアップルはで2004JIS対応を表明していました。同じurlの以下の部分にも注目。

日本語フォントのサポートを強化
最新の日本語フォントを使って入力できます。最も美しい日本語フォントであるヒラギノ、ゴシック、ヒラギノ明朝はもちろん、国語審議会とJISが定めた新しい日本語文字セットである表外字にも対応しています。

この「ヒラギノ、ゴシック」の読点は間違いでしょうね。構文としてもちょっとヘン。