ああ、終わった終わった

京大での発表、無事に終わりました。ああ良かった。肩の荷が下りました。こんなに充実した発表ができたのは、もしかしたら初めてかも。帰りの新幹線の中で、自分の発表の録音を3回も聞き直しちゃいましたよ。バカじゃないのと言わば言え。


なによりもありがたかったのは、発表後に質問してくださった皆様方。発表者の言い及ばなかったこと、知らなかったことが、質問により適確に引き出され補足されるという、この種の発表では理想的なパターンでした。素晴らしい聞き手に恵まれた幸福をかみしめております。

発表の内容が “甲骨文字と文字コード” という、「なんの冗談ですか」的なニッチなものであったことを考えると、聴衆のこうした反応は僥倖という他なく、すると、この「濃ゆい」場を営々と維持し続けてこられた安岡孝一さんのご苦労があってのことだと思い至るわけです。どうかこれからも続けていただきたいもの。

この手のシンポジウムでの最大の楽しみは、おわった後の懇親会であることは大方の一致するところと思います。同病相憐れむというのでしょうか、もう盛り上がるまいことか。適度にアルコールが回り舌が湿ってきたのか「いやあ、小形さんが亀の甲羅の写真を出してきて甲骨文字を読み上げ始めた時は、ああ、この人もう行くところまで行っちゃってるよって思ったなあ」とのたもうた某人がおりましたが、死ぬほど仕事が忙しいくせにUCSの包摂規準なんて無謀なものを作り始めちゃったあなたに、そんなことを言われたかないね。

またそれを承けて、「そうそう、小形さんが妙なものに熱を上げてるけど、甲骨文字じゃどうせ原稿を載せてくれる場所はないだろうって聞いて、仕方がない、それじゃ俺のところで救ってやるしかないだろうと」なんて安岡さんも言ってたけど、タイプライターの配列ごときで遙々大英帝国図書館に行っちゃうあなたに(以下同文)。

さりながら、原稿を載せてくれる場所がないだろうというのは、きわめて適確な指摘であることを認めざるえません。幸いハードコアな部分は今回でアウトプットすることができたので、INTERNET Watchの連載では視点を変えて、国際会議の実態というところで原稿をまとめたいと思います。

また、今回の発表については予稿集の原稿を、事実誤認の訂正の上で公開する予定です。また録音も、発表資料とリンクする形でまとめ直し公開しようと考えております。「寝床」と言われるかもしれませんが、ここまできたら乗りかかった船です。一人でも多くの人に甲骨文字の奇妙な魅力を知っていただきたいし、そうでなければこの1年の苦労が無駄になります。どうかお楽しみに!