官報の「報」の字

ogwata2006-01-05


ふーん、異体字なんだ。よりによって官報の題字とは痛いものだね。写真はウィキペディアの「官報」の項からで、同ページによると、創刊当時の太政大臣三条実美の筆になるものとか。ふ〜ん。


京大の拓本文字データベースには、この官報の字体しかない。ということは「報」は新字体なんだろうか? そう思って山田忠雄「当用漢字の新字体」(日本大学文学部国語研究室 1958年)にあたってみたけど、ここには載っていない様子。


おやあ? と思って、今度は『明朝体活字字形一覧(上)』(文化庁文化部国語課 1998年 p.91)にあたってみたら、大漢和はもちろん、康熙字典まで「報」ですよ。


さらに梅原清山編『唐楷書字典』(二玄社 1994年 p.185)にあたってみたら、こっちには「報」はない。欧陽詢もチョ遂良も顔真卿も柳公権も、みーんな三条実美と同じ。一つだけ「御注金剛経宣演巻中」だけが「報」ですな。


どうも官報の題字の字体は、筆写に特有の字体であるようです。でもって「報」は明朝体に特有の字体である、ということなんだろうな。ふ〜ん。これぞ康煕字典体ってわけだ。今のところUnicodeには収録されていないようだけど(Variantsの項を見てね)、Extension CとかDになったらどうかな?(ついでにCHISE IDS 漢字検索。守岡さんってすごい……