こんな仕事をやりました

うちの奥さんが約1年ぶりに出す新刊のブックデザインをやった。


  みつえ日記――女子 (秘) パソコン事情
  青木光恵著 朝日ソノラマ刊 11月末発売予定
  (現在版元のウェブに予告が出てないんですが、大丈夫なんでしょうか?)


1994年頃、しばらく遠ざかっていたMacintoshを買い直したのは、その頃編集していた夏目房之介さんの単行本『手塚治虫の冒険』 本文デザインをやるためだった。

手塚治虫の冒険―戦後マンガの神々


あまりに図版が多すぎて、デザインを外注に出すにもディレクションの手間が多く、それなら自分でやってしまおうと考えたのだ。数百点あるマンガ作品のコピーをスキャナーで取り込んでいき、PageMakerで割り付けていった記憶がある。

ただし、組版まで自信がもてなかったので、プリントアウトを指定紙に使い、実際には電算写植で校正を出してもらうという中途半端な作業だった。多少図版と本文がずれたが、なんとかなった。今から考えるとそれで満足していたのだから(筆者には申し訳ないが)幼稚なことだ。


それからも知人が開いた店の広報紙の編集制作をしたり、奥さんのFC会報をつくったり、仕事に使うドキュメントをInDesignで作ったり、保育園の運動会やら大学の同窓会などのフライヤーやら、娘の小学校のPTA広報紙やらをつくってきた。

いずれもプロの仕事と胸を張れるわけではないが、ちょこちょこ続けてきたのは、やはりエディトリアルデザインが好きだったからだろう。初めてPageMakerでモニタ一杯に文字を拡大して見たとき、背筋を走り抜けたゾクゾクする感じは今でも忘れられない。

考えてみれば、私は筆者と打ち合わせするよりも、写植屋のオヤジと雑談する方が好きな編集者だった。それでも、1冊の単行本をまるごとデザインするというのは、畏れ多くてとてもできないと思っていた。


この日、初校があがってきて、なんとか当初のイメージ通りデザインが成立していることが確認できた。一安心。この機会に、どんなことを考えてデザインしたのか、書いておきたいと思う。