漢字小委員会、追加案を承認、備考欄には三部首許容を注記

本日開催された第29回漢字小委員会で、常用漢字表の追加字種案が提案通りに承認された。これは191字を追加し、印刷標準字体を基本とするもの。ただし、「曽、麺、痩」の3字について印刷標準字体ではなく簡易慣用字体で示す。ここまでは前回の提案通り。この回で新しく追加されたのは、しんにょう、食偏について、本表の漢字欄では印刷標準字体を掲げるが、備考欄で簡易な字体を掲げて、あわせて括弧書きで「3部首許容」と明記しているところ。

この日配布された『「追加字種・字体」について基本的な考え方』では、「表の見方」として以下の文言を追加している。

5 漢字欄の*は、3部首(しんにゅう/しめすへん/しょくへん)に関わる字のうち、「辶/𩙿」の字形で通用字体を示したものである。当該の字について、現に印刷文字として「辶/飠」の字形を用いている場合は、「辶/𩙿」の字形に改める必要はない。これを「3部首許容」という。
なお、当該字の備考欄には具体的に「辶/飠」の字形を掲げて「3部首許容」と注記した。また、3部首に準じるものとして、「謎」にも「3部首許容」を適用する。

また、同じ「表の見方」のなかで〈付〉として、以下の文言が同時に追加された。

情報機器に搭載されている印刷文字の関係で、本表の掲出字体とは異なる字体(掲出字体「頰、賭(引用者註点あり)、剝」に対する「頬、賭(引用者註点なし)、剥」など)しか使用できない場合については、当該の字体の使用を妨げるものではない。


3部首許容については12月14日のエントリで説明したように2000年答申の表外漢字字体表で導入されたもの。そこで説明したとおり、これは前回委員会で異論を出した日本新聞協会への妥協案と考えられる。また〈付〉については、2004JIS非搭載の旧型パソコンに配慮したものだ。


これに対して、協議冒頭で日本新聞協会の金武委員は「前回の心配が解消された」と歓迎の意を示した。ただし、議論全体では常用漢字表内の一貫性を優先する立場からの異論が続出し、林副主査が必死になだめる場面が見られた。議事は予定を20分過ぎて主査の提案通り承認、終了した。

次回は1月16日、午後2〜4時まで、文部科学省3F1特別会議室にて開催、改定常用漢字表の前文、及びその名称について審議される。

付記:小熊さん、よかったらまた配布資料をアップロードしていただけませんか。