直江兼続の兜の「愛」
もう書かないといったくせに書いてます。ちょっと思いだしたもので。
来年の大河ドラマの主人公は直江兼続だそうですが、この人の兜、前立に大きく「愛」の文字をあしらっていることで有名ですね。
うまい具合にウィキメディア・コモンズとして写真がアップされていたので、ありがたく使わせていただきましょう。オリジナルはこちらです。
Description: 直江兼続所用「金小札浅葱糸威二枚胴具足」. Source: 上杉神社所蔵品. Date: 安土桃山時代頃. Author: 不明. Permission: Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation license, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no Back-Cover Texts. A copy of the license is included in the section entitled "GNU Free Documentation license".*1
この「愛」の字が書写体です。よく見ると「久」の第一画の左払いが「心」と襷掛けになるように書かれています(ただし「久」は横画が抜かれた形)。これを江守賢治『楷行草 筆順・字体字典』で見ると、「愛」の書写体は以下のような形です(p.401)。
同じですね。ちなみに漢字字体規範データベースでは、以下のごとし。ふーん、書写体のほうが用例が多いんですね。
この前立てに使われた形は、現在も使われている「愛」とはちょっと違う異体字です。それでも直江兼続にとっては、この形の「愛」こそが自らを飾るに相応しいものだったはず。書写体の一用例として覚えておきたいものです。