Leopard発売に際してアップルは「大きな」発表会を開催せず

  • アップル広報は私からの問い合わせに答えて、今月26日に発売を予定しているLeopardに関して、アメリカ本社の指示により「大きな」製品発表会を開催しないことを明らかにした。これまで同社はOSのアップデートごとに多くの報道を招いて発表会を開いているが、今回の措置はその慣例を破るものだ。
  • 今回のアップデートは非常に多くの機能追加をふくむ。本ブログで今まで取り上げてきた2004JIS対応はむしろ脇役というべきかもしれない。そのような大きなアップデートであるにもかかわらず、同社は新バージョンの美点を宣伝することについては熱心でも、互換問題については告知を抑えているように思えてならない。
  • Leopardに関しては機能追加もさることながら、Classic環境廃止をはじめとして、Leopardには旧バージョンとの互換性の懸念がいくつか存在する。2004JIS対応も、当然ながらその一つに挙げられるだろう。これについて発売前に同社が積極的に告知していないことを、私は悲しい思いで見ている。
  • ここで思い出されるのはWindows Vista発売を前にして、マイクロソフトが2004JIS対応を積極的にアピールしたことだ。Windows Vista発売は2006年12月末だが、同社が2004JIS対応に関して発表したのは1年半ほども前の2005年7月29日だ。さらに発売の約半年前には、これに関してプレスセミナーまで開催している。
  • 公平に見て、マイクロソフトには積極的にアピールしなければならない理由があった。新しいMSフォントはフォント名を変えないまま、字体の違いをもつタイプフェイスデザイン変更をしていた。正直に言ってこの方針自体にはいまだに私は納得できないものを感じている。しかし、それを差し引いてもマイクロソフトが混乱を回避しようとして誠実に努力したことは記憶されるべきだと思う。
  • それに比較して、アップルはどうなのだろうか? 私が悲しい思いにとらわれるのは、この点においてだ。
  • おそらくアップルには大して告知をしないでも混乱は発生しないという確信があるのだろう。たぶんLeopardの新ヒラギノは、Windows Vistaと違ってフォント名は変えているのではないか。しかし、だからといって混乱は発生しないと断言できるのだろうか? もちろん未来に関してどんな確信を持っても、それはその者の自由だ。しかしもしその確信が外れたときの責任は、どうやってとるのだろうか?
  • もうひとつ書いておかねばならないことがある。上に書いたような指摘をしたメディアは、少なくとも私が目にする限りでは見つけることができない。なぜメディアはアップルが互換性について積極的に告知しないことを黙っているのだろう? これはMacに関係する既存メディアが、ユーザーよりもメーカーの立場に立っていることを意味しないだろうか? ユーザーはこのことをよく覚えておいた方がいいと思う。
  • アップルへは来週早々に取材をすることになっている。私としては、上記したようなことも忘れずに聞きたいと考えている。
  • 同社が悪い方向へ向かわないことを、Mac OS Xユーザーで部分もある私は祈っている。本当に。


◎追記(10月29日)
タイトルと本文の冒頭を訂正しました。くわしくは28日のエントリにて。