東京国際ブックフェアで秀英体を拝見

前に日記を書いたのは何ヵ月前でしょうか。ちょっと悪いサイクルが重なって、どうにも字を書く気になれず、心身ともに引きこもりの日々を送っていた。こんな時、InDesignってのはいい相手になってくれますな。無から有を生む(原稿を書く)のでなく、既にあるものを見た目が気持ちよくなるよう配置する(つまりデザインとか組版)毎日でした。

そんな時に愛しの秀英初号がリリースされるというニュース。自分のパソコンであのSHMを使えるなんて夢のような話。これはぜひ実物を見たい。てなわけで久々にビッグサイトにお出かけ。外の光が眩しい。


詳細はすでにDNPからプレスリリースが出ている。(「実験る〜む」7月2日付記事のコメント欄より。感謝。)

お聞きしたうち、上記のリリースにある以外のお話を以下にまとめる。といって別にメモを取っていたわけではないので、事実と違っていたらそこはそれ、ご容赦されたし。

  • 発売するフォントのフォーマットはいずれもOpenType。
  • リリースで「約20,000字」となっていた一般発売される秀英体のグリフセットはAdobe-Japan1-5。
  • cmapテーブルは、「現在の」アドビのものに準拠(ということは「現在の」Mac OS Xと概ね同)。
  • これとは別にWindows VistaのMSフォントのcmapテーブル準拠製品を出すかどうかは慎重に検討中。
  • これについて、先行して出ている他社フォントと互換を取ることが大事だけど、まあ、Windows Vistaを無視することもできないですよね……という感じで、悩みは深そう。大変だなあ。
  • 販売形態は、自社販売にするか、他のフォントベンダーに委託するかを検討中。ただし現在のDNPには一般販売のルートもサポートノウハウもないのは事実。となると委託かな??
  • 本文用の秀英体の改刻は、まずDNPに残るベントン彫刻機用の原字から細明朝をデジタル用に履刻覆刻し、これを元に太らせつつ中明朝、太明朝を作っていったもの。
  • すなわち既にあったCTS用デジタルフォントの手直しといった部分的なものでなく、活字、それも母型などではなく本当の意味での原字にさかのぼったフルスクラッチ履刻覆刻(ヘンな言葉ですが)といえる大がかりな作業(こりゃ、大変だ)。


愛しの初号とか言いながら、リリースにある初号明朝の9,000字のグリフセットの正体については聞き漏らした。おそらく元の活字のセットそのものってことかな? SHM版では恐ろしくださかった従属欧文をどうするのかも聞きたかったなあ(元の活字にはないからね)。どなたか明日明後日聞いてきてください。