吹き出しを浮き上がらせる

すまん、ギミックの前にもう一つ大切な要素があった。それは、吹き出し部分をエンボスにすることだ。


メタな要素としての話はともかく、実体としての吹き出しを考えると(ま、一種のお遊びですが)、これは登場人物から発せられた「気」がガス状に凝固した物体と見ることができる。すなわち、吹き出し自体が立体な訳ですな。だから、これをリアルにするには浮き上がらせなければならない。



普通に考えれば、むしろ吹き出しの中のタイトルだけをエンボスにしたいと考えるかもしれないが、ここでは吹き出し全体を凸とし、その内部の文字を凹とすることにした。なぜなら吹き出しも「肝」だから。期待どおりなら、これは本屋さんの店頭で文字部分をきっちりと目立たせてくれるはずだ。ちょっと前に家を買った際、表札をステンレス彫刻で作ってみて思ったのだが、文字に凹凸をつけると、ものすごくカッコイイのだ。


さて、その方法だが知る限り3つある。

  (1) バーコ印刷
  (2) UVインク
  (3) 空押し


一番派手に浮き上がってくれるのが (1) なのだけれど、話を聞くとこれはバーコ部分により本がリサイクルに出せなくなるとの理由で、すでにどこもやっていないのだとか。本当かどうか知らないが、とすればバーコ印刷は時代の徒花だったことになる。


残る方法だが、見積もりをとったところ (2) は、めっちゃお金がかかるということで、(3) に決定。皆さま、以降UV印刷を見かけたら、その本はどんなに少なくとも3万部は刷っていると思し召されよ。本当は (3) もあまりいい顔はされなかったのだけど、まあなんとか押し切った。


これは決定した後だったが、『DTP World』10月号「どっちの印刷でSHOW」(pp.104-107)で空押しとUVの実際を記事にしてくれていて、非常に参考になった。しかしこの記事を読むと、むしろUVの方が安いってことになっている。真相は如何に?