娘の同級生のお母さんより栗をどっさりいただいた。ついにこの日が来たか。子供の頃は栗ご飯が好きで、よく母親にせがんだことを覚えている。そんな時、母親は「栗ご飯は面倒なのよ」と顔をしかめていた。実家から離れ、自分で料理するようになると、栗をむくなど思いもよらない。聞くだに面倒だ。ところが、ヤツはついに来てしまったのだ。来た以上は仕方ない。


貰っておいて言うのもナニだが、そもそも栗というのは人を選ぶ贈り物ではないか。栗をあげた当人は我が家が共働きで、しかも父親が主に料理を作っているということを分かっているのか? 彼女は、自分と同じようにうちの奥さんが時間があり、自分と同じように料理を作ると思っているのではないか。栗なんてとても平日には料理できないよ。週末はまだまだ先だぜ?


などとひとしきり恩知らずなことを言っていたら、あっというまに数日たった。栗の袋を見ると、なんだこれ、おが屑がいっぱいだ。どうしてだろう、おが屑を入れて保存でもしていたのかな? もちろん違う。虫さんが一生懸命食べ散らかした跡だったのだ。ひえ〜。洗えば何とかなるかと思って、水洗いをしてザルにあけて、一晩たってみてみたら、下に虫さんがいっぱい落ちて丸まってる。ひえ〜。今さら全部捨てる訳にもいかないので、心を無にしてとりかかる。ネットで各種レシピを調べてから始めよう。水から煮て、沸騰したら火を止め、そのままおいて鬼皮をふやかす。ここまでで時間切れ、つづきは明日だ。これが土曜日。


で、一晩あけた日曜日。エッサラホイサと剥きましたよ。ほんと大変。いくら剥いても減らないの。奥さんと二人で剥いたけど、彼女は腱鞘炎が再発しそうと言ってやめちまった。おのれ。そういう俺も、ふと手を休めると、手首が痛い。手がブルブル震える。思った以上に力を入れて包丁を持っちゃうんですね。きっと小布施の竹風堂(http://www.localinfo.nagano-idc.com/kanko/obuse/kurigasi/tikufudo/)なんかには、栗を剥いて40年とかいうオバチャンが、わんさかいてスイスイ剥いちゃうんだろうな(よく考えたら、機械で剥いてるにきまってますね)。こういう作業って、いったん始めると楽しいね。でも手が痛いよ。しかも虫食いがはげしく、中には丸ごと捨てるしかないものも。虫食いの部分を避けながら剥いていくのが、また力がいるんだよね。


結局その日は外に食事に出かける予定だったこともあり、半分くらい剥いたところで休止。あとは剥き終わったもの、剥く前、それぞれボウルに入れて水につけておいた。外に出しておいたが、数時間たって見たら剥き終わった方だけ薄く白い膜が張ってて驚く。これはアクなのだろうか? 水を換えて今度は冷蔵庫に入れておいた。外から帰宅後に再開。とにかくこれを終えないと、明日仕事ができん。全部剥いたら水に漬ける。ようやく明日は完成だ。


ついに週が明けた月曜日。米は餅米を混ぜるレシピが多いようだけど、どうせ少し使っても余るだけだから、おこわにしよう。また、栗を甘く煮るレシピも多いようだが、デレデレ甘いのは好かないので砂糖は使わない。まず昆布を水につけてだし汁を用意しておく。炊く1時間前に餅米をとぎ、ザルにあけておく。あとは炊飯器に米を入れ、分量より少なめのだし汁を入れ、薄口醤油と酒で味を調え、水を分量にする。俺はだしを取った時も、かまわずだしの素を入れちゃう(少しだけどね)。その方が風味が増すので。最後に昆布とある程度切った栗を入れてスイッチ・ポン。がんばれIH釜!


すごい旨かったよ。さすが3日かかっただけのことはある。また栗くださいね〜、