ロッキー・ホラー・ショー

ふと、自分がかつて『ロッキー・ホラー・ショー』が大好きだったことを思い出した。
1980年代初頭、何回も映画館に通って、声を限りに歌っていた、そんな日のこと。
で、まずCDを買った。HMVで一番早く手に入るやつ。


The Rocky Horror Picture Show (1975 Film)

さっそくiTunesリッピングして、最大ボリュームでリピートして聞いた。
しかし、このディスクは歌詞カードがないんですね。
それにやっぱり映像が見たい。で、DVDを買った。

ロッキー・ホラー・ショー〈プレミアム・エディション〉 [DVD]

明日は月曜日というのに、結局朝の5時半まで見てしまった。




いくつかした発見。
フランケンに初めて会った時、ブラッドが「友人の家に行く途中で」とかなんとか言うけど、ドクター・スコットはどう見ても初老の紳士で、ずっとここに違和感があった。
でも、映画版に先行するステージ版ではミートローフがドクター・スコットを演じていたんですね。彼はDVD収録のインタビューの中で「今でもあの配役はおかしいと思う」旨を言っていたが賛成だ。

まあ沢山キズがあるけど、それが魅力を殺いでないという作品ではあるけれど。


その2
ドクター・スコットが歌う「Eddie's Teddy」の中で「Unt I did.」という歌詞があるが、この「Unt」ってドイツ語なのね*1。つまり、これは「いかにも学者」という言葉遣いということらしい。
「and」だけドイツ語にするのが学者をイメージさせるのか……。


その3
冒頭の名曲「Science Fiction/Double Feature」は、ステージ版ではマジェンタ役のパトリシア・クイン*2の持ち歌だった*3。それを映画版ではリチャード・オブライエン*4が横取りした形になってしまった。DVDのコメンタリーはパトリシア・クインとリチャード・オブライエンが担当しているけど、中でオブライエンはこれを気にして、ずいぶん気を遣った言い方をしている。
こうなると、ステージ版のCDも聞かないわけにはいかなくなるじゃないか。まいったなあ……。

Rocky Horror Picture..


その4
ジャネットを演じるスーザン・サランドンは今やオスカー女優だけど、この作品を大事に思っており、「自分が出演した40本の映画の中では、もっとも後世に残したい作品」とかなんとかインタビューに答えている。


コメンタリーの中でリチャード・オブライエンは「カメラを意識して演じられたのはティム・カリーだけだった」と述懐しているが*5、換言すればいかに後にオスカーを取るスーザン・サランドンと言えども、この時点では素人臭い演技をしていたということ。それは誰でも見れば分かるし、たぶん自分自身が一番分かっているのではないかな。「大女優の恥ずかしい過去」的な見方すらできるこの怪作*6のDVD化にあたり、インタビューにきちんと出て「後世に残したい」云々と言ってのけるのは、とっても素晴らしいことだ*7


ところで、ティム・カリーはこの作品のことをどう思っているのだろう? 彼のインタビューが収録されていなかったのが気になる。


ともあれ、今こうしていてもティム・カリーやリチャード・オブライエンの歌声が頭の中をこだましている。この数日、何をしていても耳について離れない。
さすがにマズイと思い、昨日はDVDを見ないで寝たが、今日も見ないで寝よう。でも見ないで寝る自信がない……。

*1:英語字幕ではここだけイタリックになっている。あ、そういえばブラッドがジャネットを紹介する時、fianceのeはセディラがついてた。ここだけフランス語ってことで、ブラッドはインテリってことを表しているのでは?

*2:冒頭シーンの印象的な真っ赤な唇はこの人のものとか。歯もきれい。

*3:初演のオーディションで彼女が即興で歌ったのが元らしい。パトリシアはそれを誇らしげにコメンタリーで言っていた。

*4:怪人リフ・ラフ役で出演しているが、元々この人が作品の言い出しっぺであり、脚本とほとんどの作詞作曲も担当している。つまり原作者ということ。

*5:即座にパトリシアが「自分は違う」と反論するのがまたイイ感じ。

*6:なんせ、ほとんどの場面は下着姿で、挙げ句オッパイもまれちゃってる訳です。

*7:パトリシア・クインにコメンタリーの中で、スーザンはあの頃バリー・ボストウィック/ブラッド役と付き合っていたとさりげなくバラされているのはご愛敬。