「第5回ワークショップ:文字」開催のお知らせ
8月11日、東洋大学白山キャンパスにて以下のような催しがあります。
主催者は文字研究会。ぼくは企画責任者を務めさせていただきました。内容は以下の通りです。
- 趣旨説明(小形克宏)
- 第1部 「漢字調査」から考える
- 文化庁の出現頻度数調査から改定常用漢字を考える(仮)(漢字文献情報処理研究会)
- ウェブ上における使用実態統計から改定常用漢字を考える(萩原正人/バイドゥ プロダクト事業部)
- 第2部 「現場」から考える
- 第3部 みんなで考える(パネルディスカッション)
今回の催しを考えるにあたって最初に考えたことは、よくある政策の悪口大会などではなく、なるべく本質的な議論の場にしたいということでした。その上でこの度の常用漢字表の改定趣旨を振り返ると「情報化時代への対応」とまとめることができるでしょう。
この「情報化時代」という言葉自体は、おそらく昭和40年代からある使い古されたものです。しかしこれを「情報機器がコモディティ化した時代」と言い換えてみると、ここ数年はっきりしてきたある特定の状況を指すことが分かります。
ひとまずこれを「書く」環境から見ると、簡単に手書きからキーボードへの変化とまとめられるかもしれません。実際、改定常用漢字表の答申でもそのようなことが書かれていますが、実際のところ変化はそれだけに留まるものではありません。
誰もがPCや携帯電話、あるいはiPadなどを使うようになることで、流通、法制、表現形態、公共空間などありとあらゆるものが激しく変わりつつあるというのが現代の状況です。ここで注意していただきたいのは、大なり小なりすべてに漢字表記の問題が絡んでくることです。
果たして今回の常用漢字表の改定は、こうした広汎な変化に応えうるものなのか? そしてこの改定が私たちの生活にどのような影響をもたらすのか? 状況が未曽有である以上、その答えを知っている人も皆無でしょう。そうした問いについて考えるには、おそらくぼくなども含めた従来の知識人の話を聞くよりも、今まさに変化の渦中にいる方々の報告を聞くことから始めるべきだと考えました。
今回登場をお願いした方々は(趣旨説明のぼくを除けば)すべて現場の方々です。これらの方々の話を聞くことで、今後より深く掘り下げた常用漢字表についての議論が始められるのではないかと期待しております。
一人でも多くの皆さまのご来場をお待ち申し上げております。