もろもろ活動報告


このところご無沙汰でしたが、ブログを書かないうちにたまったご報告をしておきます。


INTERNET Watchで原稿を掲載

この2週間ばかり書いていた原稿が掲載されました。3回連載の第1回です。

上記が第1回で、明日木曜日の第2回は文字コードの問題、そして金曜日掲載の第3回は舞台裏も紹介しつつ第2次試案の詳細について説明します。

本当はこの連載、2回で終わるつもりだったんですが、安岡さんが書いた記事『新常用漢字表が迫るUnicode移行、「シフトJIS」では対応不可能』を読むうちに、文字コードの部分がどんどん膨れ、仕方ないので第2回として独立させることになりました。先行者として安岡さんにはお礼を言わなければなりません。

今回の連載では、なるべく大づかみに改定常用漢字表を捉えようとしました。「基本的な考え方」から論をおこし、例えば字体の変更も全体の文脈の中に位置付けようとしましたし、本来は専門ではない音訓などの問題も第3回で触れています。また、とかく見過ごされがちな審議経過、つまりどのような経緯でそうなったのかも重要ですが、これは許容字体の示し方に絞って説明することにしました。

よろしければご一読ください。


『新常用漢字表の文字論』に寄稿

ちょっと前に発売になっているようですね。以下の本に寄稿しました。

新常用漢字表の文字論

新常用漢字表の文字論

他の執筆者の皆さんも書いているように、なにせ1年も前に書いた原稿なので、論旨が「常用漢字表の改定では略字体を追加すると混乱が起きる」というものになっています。他にも追加字種の数とかね……。遅くとも夏に出ていれば問題はなかったのに。お客さまに申し訳ないです。こういうことを書かなければならないということ自体が断腸の思い。

この本では、カバーデザインを担当しています。この発想は「漢字が立体だったら面白いよね」というもの。頭の片隅にあったIllustratorの3D機能を使って遊んでみました。「謎」は上から楷書体、宋朝体、活版時代の明朝体、デジタル時代の明朝体(一点)、同(二点)です。つまり上から旧→新の順に重なっている。考えてみたらこのために游築見出し明朝を買ったんでした。高かった〜。でもうれしい。

Illustratorで画面を1000%とかにして、この「謎」の層をスクロールさせていると、なにか漢字の森を遊泳しているみたいで幸せでした。ヘンタイですね。

もうひとつ、「もう明朝体でもないでしょう」というのもありました。カバーでは「謎」の図を除いて一切使っていません。もういいんじゃない? という。まあ手にとりやすい軽みを出しつつ、研究書として対象との距離感を保ちたかった、ということなのですが。

デザインについて書き始めるときりがない(そして自己満足が鼻に付く)ので、これでやめときますが、カバーをとった表紙の曼荼羅の中央。これは謎の「字体」です。本来不可視のものを可視にしてみました。異論もありましょうが、本屋さんで見かけたら手にとってみてください。

あ、最後に、組版のことには触れないで〜〜〜(泣)。


「ワークショップ:文字―言語生活のなかの文字―」で話します

最後。来年、といっても来月ですが、以下のイベントで話をさせてもらいます。

今回のお題は「言語生活から見た絵文字のUnicode提案」。改定常用漢字表のことでもよかったんですが、あまりに原稿を書いたり話をしたりし過ぎで、ちょっと他のことをやりたかった。UCSへの提案をしたこともふくめ、絵文字について考えてみようと思います。ああ、山本さんの「絵文字の議論のつづき」についてもお答えしないといけませんね。

絵文字って話がつきませんね。やっぱり改定常用漢字表みたいに堅苦しいお役所がらみでないし、なによりも本当に多くの人が使っていて、しかも不安定に動きつつあるものなので、論じる方はとても魅力的です。これについては引き続き観察をつづけたい。