もじもじカフェにいってきた


本日はもじもじカフェに参加してまいりました。一杯飲んでいい気分で帰宅したので、今日は軽めに。



  • 本日の講師は書体デザイナーの竹下直幸さん。町中の看板や広告などに使われているフォントを、しゃれた一言を添えて紹介し続けてきた方。惜しくも昨年末に一旦休止されましたが、今日はそのまとめを話されました。
  • やっぱり興味深かったのは自分が思っていた書体のイメージと、実際の街中での使われ方が違ったこと。たとえば丸ゴシック体と言われれば、「話し言葉」とか「女性的」「やわらかな」なんてイメージでしょうけど、街中では道路標識での行き先表示や、信号機の押しボタン表示、あるいは注意書きなどに使われている。つまりあまりきつくはなく、やんわりと注意をうながしたいときなどに使われる。
  • 竹下さんは「おそらく多くの人は意識していないはず」とおしゃっていましたが、なるほど、たしかに丸ゴシックがそういう使われ方をしていたとは意識していませんでした。脱帽。
  • 他に竹下さんの書体判別法としては、ひらがなのうち、3画以上で重なりが1つある文字、たとえば「か」「た」「な」に注目するとか。もともと書体の判別はデザインの骨格を見分けることなのだけど、なるべくデザインの自由度の少ない高い文字の方が骨格を見やすいとの趣旨。同様に漢字ならばエレメントの末端の部分の形状に注目するとか。たとえばウロコの大小や形状、それに始筆や終筆。たとえばリュウミンの漢字の縦画終筆はボテッと丸く収まるのに対し、ヒラギノ明朝は四角く収まる。ウロコで言えばヒラギノ明朝のウロコはリュウミンに比べて大きい。


  • 他にも東京メトロになってサインは営団時代のゴシック5045ゴシック4550から新ゴに置き換えられたけど、それに伴い四ッ谷駅の「ツ」の字が大きくなったこと(ちなみに同じ東京メトロでも地名表示では「四谷」となり、JRでは一貫して大きな「ツ」)など目の配り方はさすがというしかありません。大変勉強になりました。
  • いつも通り懇親会でも大変楽しい一時を過ごせました。狩野さんからは『基本日本語活字見本集成本』のTrueType Collection(.TCC)はGlyphテーブルは1つを共有していることを指摘され大ショック。他にもいくつか間違いはあるけど、このミスは致命的。p.529の図17の真ん中。これは間違っています。いずれきちんと訂正しますが、取り急ぎ書いておきます。
  • それはそうと、狩野さんはこの4月で会社を辞め、次の就職までしばらくニート生活を送る由。その間にかねて念願のFonts & Encodingsを訳そうと企んでいるのだけど、まず版元を説得するところからはじめるとか。そっからかい!
  • それでもこの本は現在フランス語でしか出ておらず、英訳は1月からずっと伸び伸びでいまだに出ていない。とにかく信頼できるフォント技術書がまったく日本にはない現状で、せめて英訳だけでも出てほしいとみんなで話している。ベンダーのエンジニアを除けば、たぶん狩野さんは日本でも指折りのエキスパートだから、本当に彼が和訳してくれるなら、これ以上のことはない。成功を祈るや切なるものがあります。さあ、みんなで応援しよう!
  • しかし、本当に仕事辞めちゃって大丈夫なのかなあ。もともとちょっと浮世離れしているところがあるけど、これを機にもっと浮世離れしないのか心配。いい人見つけて身を固めればいいのになんて、オッサンの余計なお世話ですね、すいません。
  • ところで話は変わって、発売が伸びたLeopardだけど、ヒラギノフォントのcmapを変更して、2004JIS例示字体に基づいたグリフがデフォルトで出るようにするという噂。やれやれ。